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相続による不動産の取得と登記

(1) 改正前の規律


ア 遺産分割の場合

 遺産分割が成立した場合,その効力は相続開始時に遡って生じ,被相続人が亡くなった時に当該遺産を取得したものとみなされます。ただし,遺産分割後に権利を取得した第三者との関係では,相続分を超える部分については登記を経なければ権利取得を対抗できないものとされています(最判昭和46年1月26日)。

例えば,法定相続分が3分の1の人が遺産分割により遺産の2分の1を取得した場合で考えてみると,もともとの法定相続分である3分の1の限度では,登記がなくとも第三者に権利を主張できますが,法定相続分を超える6分の1の部分については登記を経なければ権利を主張できない(6分の1の部分について第三者が先に登記を取得してしまうと,もはや自分の権利は主張できない)ということになります。



イ 遺言による相続分の指定や,遺産分割方法の指定の場合

 これに対し,遺言による相続分の指定(下記※1参照)や遺産分割方法の指定(「相続させる」旨の遺言。下記※2参照)に基づく不動産の権利取得については,登記なくしてその権利を第三者に対抗することができるものとされていました(最判平成5年7月19日,最判平成14年6月10日)。上記の例に即して考えると,法定相続分が3分の1の人が,遺言による相続分の指定や遺産分割方法の指定により遺産全体の2分の1を取得した場合,2分の1全てについて,登記を経なくとも第三者に対し権利主張できることとされていました。




※1 相続分の指定

 遺言により,共同相続人の全部又は一部について,法定相続分と異なる割合で相続分を定めること(またはこれを定めることを第三者に委託すること)をいいます。

具体例としては,「甲,乙,丙の相続分をそれぞれ3分の1ずつとする。」とか、「甲に遺産の50%、乙に20%、丙に30%を与える。」等があります。



※2 遺産分割方法の指定(「相続させる」旨の遺言)

 遺言により,遺産分割の方法を指定することをいいます。

「甲に預貯金と現金を、 乙に不動産を相続させる」 等、 特定の財産を特定の相続人に取得させるよう指定するものが一般的です。

(2) 改正後の規律


改正民法899条の2は,遺言による相続分の指定や,遺産分割方法の指定(「相続させる」旨の遺言)による権利取得の場合も,相続分を超える部分については,登記,登録その他の対抗要件を備えなければ,第三者に対抗することができないものとしました。

これにより,相続による権利取得の場面では,遺産分割だけでなく,遺言による相続分の指定,遺産分割方法の指定のいずれの場合も,法定相続分の限度では登記なくして第三者に権利を主張できる一方,相続分を超える部分については登記がなければ権利を主張できないこととなります。

上記の例でいえば,法定相続分である3分の1については登記がなくとも権利主張可能ですが,これを超える6分の1については登記がなければ権利を主張できません。

このような改正の背景には,第三者にとっては,遺言の有無や遺言の内容は分からないため,事情を知らずに権利を取得した第三者を保護する必要性は,遺産分割の場合とそれ以外の場合とで変わらない,という点があるものと思われます。

 

【改正前】

























  法定相続分の範囲内 法定相続分を超える部分
遺産分割 登記がなくとも権利主張可能 登記がなければ権利主張できない
遺言による相続分の指定 登記がなくとも権利主張可能 登記がなくとも権利主張可能
遺産分割方法の指定  登記がなくとも権利主張可能  登記がなくとも権利主張可能

 

【改正後】

























  法定相続分の範囲内 法定相続分を超える部分
遺産分割 登記がなくとも権利主張可能 登記がなければ権利主張できない
遺言による相続分の指定 登記がなくとも権利主張可能 登記がなければ権利主張できない
遺産分割方法の指定  登記がなくとも権利主張可能  登記がなければ権利主張できない

 上記の通り,遺産相続の場面で不動産を取得した場合には,登記についても注意が必要となりますので,詳しくは弁護士にお問い合わせください。


(3) 遺贈の場合


なお,遺贈(下記※3参照)については,相続法改正の以前から,取得分全体につき登記を経なければ第三者に対抗できないものとされており(最判昭和39年3月6日),この点は相続法改正後も変更ありません。




※3 遺贈

遺言によって,財産を無償で他人に与えることをいいます。与える相手は,相続人とすることも可能ですし,相続人以外の人とすることも可能です。

なお,遺贈には,①特定遺贈と②包括遺贈の2種類があります。

①特定遺贈は,遺産のうち特定の財産を受遺者に与えるものであり,例としては「自宅不動産をAに遺贈する」等が挙げられます。

②包括遺贈は,遺産の全部または一定割合を与えるものです。例としては,「Aに自己の財産全てを包括して遺贈する」とか,「Bに自分の財産のうち4分の3を遺贈する」等があげられます。なお,この場合,不動産や預貯金等のプラスの財産を受け取る権利だけでなく,債務(借金など,マイナスの財産)も引き継ぐこととなる点に注意が必要です。


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