遺産分割はいつまで? |横浜・日本大通り 相続・遺産分割・遺言・遺留分の無料相談

メール予約も受付中
0120-150-833

[受付時間] 平日 9:30 ~ 19:00

遺産分割はいつまで?


遺産分割とは、「誰が、どの遺産を相続するか」を決めることであり、そのための相続人同士による話し合いを遺産分割協議といいます。

遺産分割には、「故人の死亡後、いつまでにしなければならない」といった法律上の期限はありません。

そのため、被相続人が遺言により5年を超えない範囲で遺産分割を禁止した場合(民法908条)以外は、いつ行ってもかまわないことになっています。

しかし、遺産分割をせずに放置し続けると、実際には様々なリスクやデメリットが生じてしまいます。

 

本記事では、

 

  • 産分割をしないことによるリスクやデメリット
  • いつまでに遺産分割すべきか

 

について解説します。

 

1 遺産分割をしないことによるリスクやデメリット

(1)相続放棄(3か月)の決断に影響

相続放棄や限定承認を行う場合は、原則として相続開始(故人の死亡)や遺産の存在を知ってから3か月以内に、家庭裁判所で手続をとらなくてはなりません(民法915条1項)。

 

これらは一度行うと取り消せないため、相続財産の内容や他の相続人との関係を見極めた上で行うのが望ましいといえます。

よって、少なくともこの期限までには、遺産分割に向けた準備を整え、誰が相続人の確認や遺産のリストアップなどを行っておくべきでしょう。

 

(2)遺産共有の状態が継続することのリスク

相続税が高額となる見込みであり、その資金を工面するために、遺産である不動産の売却や預貯金の引出しを検討するという方も多いと思います。

しかし、これらの名義が被相続人のままとなっている場合、相続人は不動産売却も預貯金解約も行うことができません。

とくに、取得者や分割方法が決まっていない不動産は、相続人全員の共有状態となってしまうため、全員の同意がない限り、売却や建て替え、担保に利用するといった有効活用ができません。

それにもかかわらず、固定資産税やその他諸々の維持費が発生し続けるのです。

さらに、遺産分割未了の状態を放置し続け、そのまま相続人が亡くなって新たな相続が生じた場合には、相続人が増えてますます遺産分割が困難となってしまいます。

 

(3)税務上の不都合

相続税は、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告納付しなければならないという期限が定められています。

そして、相続税の計算にあたっては、配偶者控除や小規模宅地の特例等の様々な優遇措置が設けられていますが、これらの特例を受けるためには、原則として申告期限までに遺産分割協議が成立していることが必要です。

 

なお、例外的に、遺産分割が行われていない財産についても「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税申告書に添付すれば、遺産分割後に、遡って特例の適用を受けることができます。

具体的には、当初申告時に一旦法定相続分に応じた相続税を納め、遺産分割の結果、納め過ぎの税金が生じた場合には更正の請求をして還付を受けることになります。

しかし、これは二度手間である上、未分割による法定相続分での仮申告の場合には特例が適用されないため、一時的に多額の納税資金を工面する必要があります。

また、未分割の相続財産では物納を行うこともできません。

これらの税制上の優遇を当初から受けられないことが、相続人にとっては大きな負担となるのです。

 

(4)きめ細かな相続の実現ができなくなる

①具体的相続分による遺産分割は10年に制限

一部の相続人が、被相続人から生前に多くの贈与を受けたとか、逆に被相続人の介護や財産増加に大きく貢献したというように、相続人間で利得や負担の偏りが見られるケースがあります。

そのような場合に、被相続人から多くもらった分(特別受益)や、被相続人に貢献した分(寄与分)を考慮し、相続財産を修正したものを、「みなし相続財産」といいます。

その上で、みなし相続財産をもとに配分を決め直したものを、「具体的相続分」といいます。

 

みなし相続財産

=相続開始時の全遺産評価額 + 全特別受益 ― 全寄与分

 

各相続人の具体的相続分

=みなし相続財産 × 各相続分 ― 各特別受益 + 各寄与分

 

令和5年4月1日から、この具体的相続分による遺産分割について、期間が制限されることとなりました。

その結果、被相続人や各相続人の関係性に照らした相続の実現が困難になる可能性があります。

相続開始から10年を経過した後に遺産分割を行う場合、具体的相続分ではなく法定相続分(又は指定相続分)によって画一的に分配されることになります(民法904条の3)。

具体的相続分をめぐる紛争は長期化しやすいことや、10年以上も前の事情については証拠を確保するのも難しい、といった理由からの期間設定です。

 

②例外

ただし、以下の場合には10年経過後も具体的相続分による遺産分割をすることができます。

 

  • 10年経過前に家庭裁判所へ遺産分割調停の申立をする
  • 10年の期間満了前6か月以内に遺産分割請求をすることができないやむを得ない事由があった相続人が、当該事由が消滅したときから6か月が経過する前までに家庭裁判所に遺産分割請求をする
  • 10年経過後でも相続人全員が合意する

 

2 いつまでに遺産分割を行うべきか

(1)10か月を目安に

これまでに見てきた通り、遺産分割をしないままの状態、すなわち遺産共有状態は,リスクやデメリットばかりのため,このような状態を解消するための遺産分割は早いに越したことがありません。

しかし、かと言って拙速に結論を出すのも問題です。

一旦成立した遺産分割協議は、原則としてやり直しができないからです。

そこで,相続税の申告期限である,「相続開始から10か月以内」を目標とし,それまでに遺産分割が成立するように少しずつ準備を行っていくのが良いでしょう。

1(3)のとおり,税制上の優遇措置を「受けられる」か「受けられない」かは,相続人にとっては非常に切実といえますので、相続人全員の協力が得られやすいでしょう。

 

(2)遺産分割を円滑に進めるには

遺産分割協議の必要性を認識した時点で,お早めに弁護士等の専門家に相談するのが賢明です。

遺産分割協議がスムーズにいかない可能性があるだけでなく、その前提となる,遺産探しや相続人の確定といった作業についても,誰が行うのかを巡る対立などが生じ得ます。

相続人間で大小の対立が生じる度に協議が中断していては,10か月以内の協議成立は到底期待できません。

そこで、対立が生じる場面や,その対立がその後の協議にどう影響を与えるかを,経験に照らして弁護士が判断します。

その上で、ご自身で対処できるもの、できないものについてのアドバイスを受け、よりスムーズかつスピーディーな遺産分割を目指しましょう。


相続問題は
山本安志法律事務所にお任せください。

0120-150-833

[受付時間] 平日 9:30 ~ 19:00

メール予約も受付中
初回1時間相談無料

経験豊富な弁護士が、問題解決までワンストップでサポートします!