遺産分割
- ・父親が亡くなった。相続人は、母親と子2人、仲は悪くないと思うが、遺産を分割するにはどうしたらよいか。
- ・母親が亡くなった。兄弟姉妹は3人だが、疎遠で、話し合いがうまくいくか不安なので相談したい。
- ・叔父が亡くなった。叔父の兄弟が多いので、どのように相続手続きをしたらよいか。
両親や叔父叔母が遺産を残し亡くなった場合、そのごの手続きをどうしたらよいかお悩みではありませんか。
遺産を取得するのは、遺産分割が必要です。
遺言により、各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、
- 1.誰が
- 2.どの財産を
- 3.どの方法で
- 4.どれだけ取得するか
について、相続人全員で協議し、相続財産を分けます。
これを遺産分割といいます。
遺産分割の方法
現物分割
遺産そのものを現物で受け取る方法です。
現物分割では、預金等は、相続分できっちり分けることが可能です。
不動産や分割困難な株式などは各相続人の相続分相当額どおりに分けることが現実的に困難である場合は、相続分超過分を他の相続人に金銭で支払うなどして調整することもあります(代償分割)。
代償分割
相続分以上の財産を取得する場合、その代償として他の相続人に金銭を支払う方法です。
換価分割
遺産を売却して金銭にした上で、その金額を分ける方法です。
共有分割
不動産などを、共有持ち分で分ける方法です。
遺産分割協議はあくまで、相続人間での任意の話し合いです。
話し合いがつく場合が望ましいですが、話し合いがつかない場合は、裁判所の審判で決めることができます。
法定相続人
誰が相続人になれるかは、民法で決められています。
残された親族が誰であるかによって、相続できる人と相続できる割合が異なってきます。
民法によって定められた相続人を「法定相続人」と言います。
亡くなった方と親族であったとしても、必ず相続人になれるわけではありません。
法定相続人の優先順位は、配偶者、子→父母→兄弟姉妹となり、その割合は下表の通りとなります。
亡くなった方に | 相続分 |
---|---|
配偶者と子がいる場合 | 配偶者・子ともに1/2ずつ相続します |
配偶者と父母がいる場合 (子はいない) |
配偶者が2/3、父母が1/3を相続します |
配偶者と兄弟姉妹がいる場合 (子も父母もいない) |
配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を相続します |
配偶者のみいる場合 (子も父母も兄弟姉妹もいない) |
配偶者が全てを相続します |
配偶者がいない場合で、子・父母・兄弟姉妹がいる場合 | 子供が全てを相続します |
相続関係図
但し、これはあくまで遺産分割をするにあたっての目安にすぎません。
実際に遺産分割をするには、遺産の範囲の確定、評価、分割案の作成など、なかなか困難な作業をこなしていかなければなりません。
また、特別受益や寄与分は、実際に認められるか難しいケースもあります。
寄与分と特別受益は、遺産分割協議で争いになる場合が多いので、別項で詳しく解説します。
親の家業に従事して親の財産を増やした人、寝たきり状態の親を自宅で介護して親の財産の減少を防いだことから寄与分を請求したい、相続人のうち一人だけ住宅資金や、開業資金などをもらったので、公平に分割したいなど特別受益の問題です。
遺産分割協議書の作り方
相続した不動産の登記、預金や株式の名義変更など、すべての場面で遺産分割協議書の提出が必要です。
遺産分割協議書には、誰がどの財産を取得したのか明確に記載します。
プラスの財産だけ記載されることが多いですが、マイナスの財産についても記載したほうがよいでしょう。
遺産分割協議書には決まった書式はありませんが、全員の署名捺印が必要で、印鑑は市区町村役場に届け出た実印を通常は使用します。
そして、印鑑証明書を各自添付します。
これに、相続人調査で集めた戸籍謄本(被相続人の生まれてから亡くなるまで)と相続人の戸籍等と相続人関係図を添付し、登記所での相続登記や銀行などの預金を下ろす手続きをします。
遺産分割協議書(ひな型)
※ 遺産分割協議書のひな型は、Microsoft Wordにて作成しています。
ダウンロードしてご自由にお使いください。
遺産分割協議書の作り方についても、お気軽にご相談ください。
調停・審判
当事者同士で話し合いをしても、遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
遺産分割の調停は、相続人の一人あるいは何人かが、残る全員を相手方として申し立てます。
調停手続きは、分かりやすく言うと、調停委員という第三者が2名、当事者の話し合いの仲介に入ってくれる手続きです。
月に1回程度、2時間程度開かれます。
遺産分割調停は、
- 1.相続人の範囲
- 2.遺産の範囲と評価
- 3.寄与分・特別受益
- 4.具体的相続
と進みます。
1、2が確定していれば、話し合いができない場合には、審判手続きで分割ができます。
調停を申し立てて、解決までに1年程度かかることも珍しくありません。
ただ、調停も基本的には話し合いなのですが、法律に従った適切な解決や早期の解決を目指すには、調停段階から弁護士に委任するメリットは大きいと言えましょう。
調停においても当事者で合意することができなかった場合には、調停不成立となり、当然に審判に移行します。
審判においては、訴訟手続きに近い形で手続きが進行し、家事審判官(裁判官)がさまざまな事情を考慮して、遺産分割の審判をします。
各種名義変更手続きと登記など
遺産分割協議が成立したり、審判がされたら、預貯金・クレジットカード・株式など、財産の名義変更手続きを行います。
不動産がある場合は、不動産の相続登記手続きをします。
また、保険や年金・水道・電気等の細かな手続きも面倒ですが、おろそかにはできません。
弁護士に依頼する理由
「弁護士」 「税理士」 「司法書士」 「行政書士」・・・。
一体誰に相談すれば良いのか悩むところです。
それぞれ専門分野が違います。
複雑な相続問題では、それぞれの専門家の協力が必要になります。
どの専門家にまず相談するかは、なんと言っても弁護士が一番適切です。
争いのある場合は弁護士が適切ですし、争いがない場合も、弁護士が他の専門職との付き合いが豊富なので、ワンストップで相談解決できます。
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