相続法の見直し、新たな方策
相続法の改正
法制審議会では、相続法の見直しで、新たな方策が提案されています。
1 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)
2 仮払い制度等の創設・要件明確化
3 一部分割
4 相続開始後の共同相続人による財産処分
いずれも妥当な方策かと思います
詳細をコピペします。
第2 遺産分割に関する見直し等
1 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)
婚姻期間が20年以上である夫婦の一方が他の一方に対し,その居住の用に供する建物又はその敷地(居住用不動産)の全部又は一部を遺贈又は贈与したとき(第1・2の規定により長期居住権を遺贈又は死因贈与した場合を含む。)は,民法第903条第3項の持戻しの免除の意思表示があったものと推定するものとする。
2 仮払い制度等の創設・要件明確化
(1) 家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する方策
(家事事件手続法第200条第2項の規定にかかわらず,)家庭裁判所は,遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において,相続財産に属する債務の弁済,相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を行使する必要があるときは,他の共同相続人の利益を害しない限り,当該申立てをした者又は相手方の申立てにより,遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部を申立人に仮に取得させることができるものとする。
(2) 家庭裁判所の判断を経ないで,預貯金の払戻しを認める方策
(民法第898条,第264条及び第251条の規定にかかわらず,)各共同相続人は,遺産に属する預貯金債権のうち,その相続開始時の債権額の2割にその相続人の法定相続分を乗じた額(ただし,預貯金債権の債務者ごとに100万円を限度とする。)については,単独でその権利を行使することができるものとする。〔この場合には,当該権利行使をした預貯金債権については,遺産分割の時において遺産としてなお存在するものとみなすものとする。〕
3 一部分割
① 共同相続人は,被相続人が遺言で禁じた場合を除き,いつでも,その協議で,遺産の全部又は一部の分割をすることができるものとする。
② 遺産の分割について,共同相続人間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,各共同相続人は,その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができるものとする。ただし,遺産の一部の分割をすることにより,共同相続人の一人又は数人の利益を害するおそれがあるときは,その請求をすることができないものとする。
4 相続開始後の共同相続人による財産処分
(1) 【甲案】(遺産分割案・部会資料20における提案)
共同相続人の一人が,遺産の分割が終了するまでの間に,遺産の〔全部又は〕一部を処分した場合には,当該処分をした財産については,遺産分割の時において遺産としてなお存在するものとみなすものとする。
(2) 【乙案】(償金請求案・新たな提案)
共同相続人の一人が,遺産の分割が終了するまでの間20に,遺産の全部又は一部を処分した場合において,損失を受けた他の共同相続人は,当該処分をした者に対し,次のアに掲げる額から次のイに掲げる額を控除した額の償金を請求することができるものとする。
ア 当該処分がなかった場合における民法第903条の規定によって算定された当該共同相続人の相続分に応じて遺産を取得したものとした場合の当該遺産の価額
イ 民法第903条の規定によって算定された当該共同相続人の相続分に応じて遺産を取得したものとした場合の当該遺産の価額